映画の存在をもう何年も前に知っていましたが、映画はまだ観ておらず、原作も気になっていたので、『向日葵の咲かない夏』の口直し的な意味で読んでみることにしました。
さて読み始めてみると、グイグイ読んでしまいました。
抜群に読みやすい!
飽きが来ない訳ではないのですが、キャラに特徴があってとても面白かったです。
元々映画の広告を見た時点から、最後にどんでん返しがあることは知っていたため、気を張って読んでおりました。
怪しい部分は幾つも感じていたんですが、全く見抜けませんでした。
そもそも最初の出会いを回想するシーンのある場面から「何かおかしいな・・・」とは思っていたんですが、こう来るとは。
予想外でした。
ただ、ちょっと無理矢理な気もしないでも無いです。
ワクワクするような、面白いどんでん返しでは個人的にはありませんでした。
あと振り返ってみても意味の分からない描写があるんですが・・・意味はなかったのかも知れません。
それと意味不明の描写以外にも全部が判明したあとも「どうしてそうなった・・・?」という謎が残ってる部分があります。
自分が見落としてるだけかも知れませんが。
どんでん返しだけに目を向ければそう感想になりますが、お話としては十分面白かったです。
読後感も良いです。
この「カラスの親指」というタイトルの意味が分かった瞬間も気持ち良かったです。
悪人がどん底から這い上がろうとする過程と、その過程で出会う仲間、その仲間との短いながらも一見平和な日常、そしてまた追い詰められて手に汗握る展開になる起承転結が非常に小気味いい進み方でした。
でも読了して振り返ってみると、構造としては『向日葵の咲かない夏』と似てるような・・・。
でも『向日葵の咲かない夏』とは違って、希望のある終わり方でした。
1人を除いて、主要人物たちは皆悲惨な目にあい、その結果大事な人を失っています。
心に傷を抱えながら、自分の罪となかなか向き合えなかったり、現実から目を背けて諦めて生きていたㇼ、それでも仕方ないのかもしれない・・・なんて途中までは思ってました。
でも、最終的に全員が自分たちの過去に向き合った結果、少しずつ好転いく様子がとても希望が湧いてきて、とても良かったです。
映画は結末が異なるようなので、映画もそのうち観てみたいと思います。
『向日葵の咲かない夏』の口直しとしては十二分の作品でした。
『カラスの親指』
★★★★☆ / (4点)