『グリーン家殺人事件』に続くヴァン・ダインです。
自分が調べた限りでは『僧正殺人事件』と『グリーン家殺人事件』がヴァン・ダインの作品の中でも特に評価が高いようです。
江戸川乱歩もベスト10に入れてましたね。
前作の『グリーン家殺人事件』は読んでる最中はそれ程面白いと思わなかったのですが、後から振り返ると印象は濃く残っていました。
それに対して今作は読んでる最中から面白くてどんどん読み進めました。
ところが、結末が個人的にはイマイチなのです。
エラリー・クイーンも同じような結末を用意してる作品がありましたが、あれもあまり好きではなかったです。
それと、今作はクリスティの『そして誰もいなくなった』同様にマザーグースの唄になぞって次々と殺人が起こっていくわけなんですが・・・。
それ自体は面白くてとても良いんですが、犯人がそんなことをした理由がなんかイマイチ消化しきれない感じがします。
そもそも動機もしっくりこないですし、心理的・論理的な解決は図られていますが、それは「まぁ作者がそう言ってるんだから、そうなんだろう」というような納得の仕方しか出来ませんでした。
それと、前作もそうでしたが登場人物の殆どが死んでから事件が解決するのもなんだか・・・。
勿論推理小説なんて真実が分かるために犠牲者が出るのは当然だと思いますし、時にはその数が多くなるのもやむを得ないとも思いますが、ちょっと死に過ぎでは・・・。
という訳で、途中まではすごく面白かったのに結末がイマイチだった、個人的には惜しい作品です。
恐らくヴァン・ダインの作品をこれ以上読むことはないと思います。
読むとしたら『ベンスン殺人事件』かなぁ。
とにかく、まだまだ他に読みたい本が沢山あるので、ヴァン・ダインは一旦ここで打ち止めにします。
それと「ヴァン・ダインの二十則」なんてものがありましたが、個人的にはそんなルールを守るよりも、もっと面白くてワクワクさせてくれればそれが一番だと改めて思いました。
『僧正殺人事件』
★★★☆☆ / (3点)