アガサ次郎の推理日記

推理小説好き(初心者)です。主に読んだ本の感想を書き込んでいきます。

夏を取り戻す / 岡崎琢磨

 

この作品を読むか別の作品を読むかの二者択一で迷って、こちらを選んだんですが・・・。

個人的には今一つだったかな、と。

 

小学生が1人失踪しては数日すると帰ってくる、今度は別の小学生が失踪しては数日後に帰ってくる・・・一体なぜ?

というところから始まって、驚きの展開が・・・という内容です。

 

冒頭はかなり親近感がわきました。

何故かって「ポケモン」やら「銀狼怪奇ファイル」やらの自分にとっても懐かしい話題が出てきたからです。

1996年の小学4年生たちが事件の中心となります。

年齢的には自分よりも上になりますが、ほぼ同じ年代と言えるので話題は通じるものがありました。

どちらかと言えば、そういうノスタルジーにもう少しフォーカスを当ててくれた方が自分的には面白かったかも知れません。

 

一応ちゃんとミステリー小説の体裁をとっていますが、割と見抜ける事も多いと思います。

ただ二つ目の光のトリックはちょっと無理があるような。

三つ目のトリックは個人的にはなかなか良く出来ていたように思います。

詰めは甘かったですけどね。

 

そういったトリックを楽しむよりも、やっぱり小学生たちは何が目的で失踪を繰り返すのか、という真相解明が一番の楽しめるポイントかと思います。

そしてその謎の解明がなされるシーンはちょっとグッと来ました。

「どうでもいいのは・・・」っていう台詞は痛快でした。

また、子供たちの結束力には心打つものがありました。

 

このシーンは良かったんですが、実はこの真相解明のあともう一波乱起きます。

というか、きっと読者側も「あの事について触れてないからまだ何かあるぞ」っていうのは気づくかと思います。

それは別に良いんですけど、その部分が自分には蛇足に感じてしまいました。

もう少し違う着地がだったら評価も変わったかなと思います。

また、エピローグも個人的にはイマイチでした。

 

トリックやら真相が見抜きやすい云々ではなく、物語として尻窄みだったことが個人的には残念でした。

ただ、これは自分にとってはということなので、人によっては凄く面白く感じるかも知れません。

実際、文章は読みやすいですし後半までは普通に面白いです。

 

やっぱり最後が自分的には惜しい、そんな作品でした。

 

 

 

★★★☆☆ / (3点)