電波的な彼女シリーズの第2作目にして、個人的には一番好きな作品です。
久々に読みましたが、やっぱり文句なしに面白かった!
電波的な彼女シリーズは1作目と3作目はOVA化されていますが、この2作目だけはアニメにはなっていません。
それは何故かと考えると、やっぱり事件の内容が重いからだと思います。
本作で起きる事件は通称「えぐり魔」と呼ばれるもの。
幼児が誘拐され、その数日後に発見されるが、誘拐された幼児からは皆両目が奪われていた・・・という事件です。
実は連続通り魔事件として第1作目で既に名前だけは登場しています。
主人公のジュウが偶然出会った女の子が、ジュウと出会って別れた直後に被害にあっていたことをニュースで知り、居ても立っても居られないジュウは独自に調査を開始していくのですが・・・。
読み直してみて、事件とは関係ない所謂ライトノベルらしい場面が自分は好きだなと感じました。
勿論サスペンスらしい重たいシーンも出てはくるのですが、基本はライトノベルですから軽めでかなえい読みやすいです。
今作から登場人物も増えてますし、ジュウの心情も前作とは全く違うので、人物相関図として見てみるととても面白いことになっています。
肝心の事件の方の顛末は因果応報な結末となっています。
犯人は思っていた以上にゲスい思考の持ち主でした。
そして解決後にジュウが「自分は何も出来なかった」と述べている通り、解決は鮮やかに行われますが、活躍するのはやっぱり雨です。
その雨さえも予想だにしなかったような結末が待ち受けています。
解決後にジュウが最初に出会った被害者の女の子に会いに行くシーンは涙が出そうになります。
ところで再読して気になったんですが、この犯人は裏世界に通じている口ぶりをしていましたが、実際はそうでもなかったのでは、と。
何故なら裏十三家のことを知っている節がないからです。
円堂はともかく、堕花や斬島なんて苗字は明らかに珍しいですから気づきそうなものですが。
事件の内容は重いですが、やっぱりライトノベルとして読むのが正しいのかなと思います。
登場人物も独特で現実離れしたキャラばかりですし、本格ミステリみたいに謎解きが行われる訳ではありません。
それでも謎解き要素はありますし、サスペンスらしい重めのシーンもありますので、ライトノベルも読める人でサスペンスがお好きな方にはオススメです。
なんか素直に評価出来なかったですが、自分は大好きな作品です。
大人になってから読むとハッとするような台詞も幾つもありました。
もう何度も読みたいと思えるほど、個人的には面白かったです。
『電波的な彼女~愚か者の選択~』
★★★★★ / (5点)