アガサ次郎の推理日記

推理小説好き(初心者)です。主に読んだ本の感想を書き込んでいきます。

黒死館殺人事件(まんがで読破) / 小栗虫太郎

 

以前当ブログでも記事にしました『黒死館殺人事件』の漫画版になります。

 

※過去記事はこちら。

wakuwaku-mystery.hatenablog.com

 

 

先日、日本三大奇書を三冊とも読破したわけですが、やはり『黒死館殺人事件』だけはモヤモヤが残る感じだったので、この「まんがで読破」シリーズで読み直したいと思っていました。

読んでみて思ったことは、「あ、意外とちゃんと原作を理解して読めていたんだ」ということでした。

 

しかし、あの難解を極めた原作をこうも薄く出来るのかと感心してしまいます。

それだけ本筋とは関係ない話が多すぎるという事でしょう。

内容が凝縮されているということもありますが、漫画ということで視覚から得られる情報量がかなり大きいので、とても理解しやすかったです。

ただ、これは結局ないものねだりなんでしょうが、やっぱり原作のあの難解さが生み出す世界観が恋しくなるような思いもありました。

あと、これはレビューを見るまで気にしていなかったのですが、漫画版の法水の人物像が原作と全く別人です。

これが気に入らない人は、漫画版はイライラしながら読むことになるかもしれません。

 

恐らく原作が難しすぎるのでこの「まんがで読破」で読んでしまおうと思っている人も少ないないと思います。

ただ、自分はあまりオススメしません。

この「まんがで読破」版ですが、少なくとも面白いか面白くないかで言えば、面白くないと思うからです。

そもそも原作だって面白いと言えるのかどうか微妙ですが、自分はまだ原作の方が好きです。

そもそもが原作をして単純な面白さを追求した作品ではなく、アンチミステリーとしての複雑な文章と奇妙な世界観にどう憑りつかれるかという事がこの作品の意義のような気がします。

 

レビューの中には先にこの「まんがで読破」を読んでから原作を読むと理解しやすいかも、というのがありましたが、自分は逆をオススメします。

確かに原作は読むのに根が必要になるかも知れませんが、先にあの世界観を体感してからこの「まんがで読破」でより理解を深めるという順番の方が楽しい気がします。

 

 

この「まんがで読破」が面白いと思ったというよりも、この漫画版を読んで原作の面白さを思い知らされた、そんな一冊でした。

気が向けば、また原作も読んでみたいです。

 

 

 

黒死館殺人事件(まんがで読破)』

★★★☆☆ / (3点)