読書再開後に紹介する本がいきなり推理小説でないのはどうかと思いますが、疲れた心を癒してくれるような本が読みたい気分だったので、この本を再読しました。
この本に出合ったのは1年とちょっと前くらいでしょうか。
よく行く書店に棚積みされていて、表紙も惹きつけられるものがありました。
それで内容もよく知らずに、所謂ジャケ買いしてしまったのがきっかけです。
この本を一言でまとめれば「沖縄という島がある親子にくれた奇跡の3日間の話」とでもなるでしょうか。
ファンタジーが混ざってますが、自分が初読の時は本気で泣いてしまいました。
レビューを見ると父親が子供過ぎる、身勝手すぎるということで受け付けない人も多いようです。
・・・まぁ確かにその通りですね。
そこが受け入れらない人が居るというのは理解できます。
でも、自分にはそれ自体がある意味大きな伏線になっていたのかなと再読して感じました。
初めて読んだ時は急に新たな母親が登場することに戸惑いを見せる「僕」の視点で読んでいたので中盤まではモヤモヤあるいはハラハラで、終盤の展開はとにかく泣けました。
特に最後の車でのシーンは涙なしには読めませんでした。
再読の時は「おかあさん」の視点が分かっていたので、ある意味中盤まではちょっと退屈でした。
でも中盤以降、特にやはり終盤のファンタジーが解ける前後の展開からはウルウルしながら読んでいました。
ファンタジーでも、そんなの関係なく本気で感動できました。
「後悔するときが来たら、苦しむさ」
今回再読したときに、特にグッときた台詞です。
この台詞に色々なことを想像してしまいます。
それはこの本の世界のことだけでなく、それを自分に照らし合わせてみた時の想像のこともです。
現実ではこんな奇跡は起こる訳もありませんが、そんな理屈抜きに感動を与えてくれる一方で現実的な問いかけをされているようにも感じた再読でした。
そんな感動的な内容もさることながら、沖縄という土地や文化が元々好きだった自分にとっては食事の場面や観光の場面もとても楽しく読むことが出来ました。
特に食事のシーン・・・沖縄料理が恋しくなります。
沖縄行きたいな。
そういえば初読の後に知ったことなのですが、この本はかりゆし58の「アンマー」という曲に着想を得て書かれたそうな。
この本を読む以前からこの曲は好きな曲でしたが、まさかこの曲からスタートしていた物語だとは思ってもみませんでした。
曲の内容を元にした小説という訳ではなく、飽くまでも有川さんのストーリーを引き出すきっかけとなった曲が「アンマー」のようです。
再読して思ったのは、やっぱり良い本だなということ。
合う・合わないはあると思いますが、オススメしたくなる1冊です。
『アンマーとぼくら』
★★★★★ / (5点)