またまた同僚に借りて(正確には無理矢理貸し出された)読んだ本です。
これも『最後の証人』同様にクドイ文章だなぁとは思いつつも、そこまで引きずることもなく読めました。
この柚月裕子さんはこういう書き方なのでしょう。
肝心の内容ですが、うーん・・・。
つまらなくは無いんですが『最後の証人』ほどの芯があったとは感じられず、引き込まれるほどの魅力的な人物や物語であった訳でもありませんでした。
この作品も柚月裕子先生がよく扱う(と個人的に思っている)「正義」というテーマが挙げられるかと思いますが、その扱い方も本作では微妙でした。
広く言えば「正義」というテーマなんですが、この作品を通して何が言いたいのかがイマイチ分からず。
「何が正義なのか?」、「大義名分が立てば正義は許される」、「犠牲なくして正義なし」、「正義を貫く難しさ」・・・。
どれを取っても中途半端で、読み終わった後に自分の中に何も残らない気がします。
別にテーマなんてはっきりしなくても面白ければ自分的には全然オッケーですが、そもそも面白いとも言い切れない、何とも言えない作品でした。
これだったら変にどんでん返しなんか狙わずに、思い切りテーマを絞って書いて欲しかったです。
あるいはこの作品は続編への伏線にしか過ぎないのかもしれません。
次作を読んでいないので何とも言えませんが、そうとでも思わなければ本作の意義が感じられません。
繰り返しになりますが、意義なんてなくても面白ければ良しです。
回りくどいことなんかせず、純粋にワクワクさせてほしい。
自分が推理小説に求める純粋な面白さがこの本には欠落していたような気がします。
次作を読む機会があれば、それはそれで楽しみたいとは思います。
話しが逸れるかもしれませんが、ゲームの『ロスト・ジャッジメント』と似て非なるテーマだなと感じました。
★★☆☆☆ / (2点)