ホームズシリーズは中学生の時に一通り読んだと思うんですが、殆ど記憶に残っていません。
なので、今年はホームズを読み直そうと思っていましたが、ここまでなかなか手が出ませんでした。
ただ読むなら『バスカヴィル家の犬』からにしようと思っていました。
それは、何のサイトで見たか分からなくなってしまったんですが、大御所の推理作家の方々が選んだベスト5くらいの推理小説を紹介してるサイトを見た記憶がありまして(探したんですが見つからないんですよね・・・)、そこにこの『バスカヴィル家の犬』がよく出てきていたんです。
他に覚えてるのはドロシー・L・セイヤーズで人気だったのは『ナイン・テイラーズ』ではなく『毒を食わらば』だったのが意外だったってことくらいです。
とにかく、『バスカヴィル家の犬』から読むと決めておりました。
あとはどの出版社の本にしようかというので結構悩みまして。
本当は光文社文庫が良かったんですが、行きつけの書店でホームズシリーズを揃えには取り寄せしかありませんでした。
そこで選択肢から消して、新潮文庫か創元推理文庫で悩みました。
結局揃えやすさで比較して創元推理文庫にしました。
肝心の中身ですが、正直「『バスカヴィル家の犬』から読み始めたのは失敗だったな」というのが率直な感想です。
まず、内容は全く覚えておらず初読と同じ感覚で読むことが出来ました。
序盤は「ああ、ホームズってこういう感じだよな!」って懐かしさと感動があったんですが、読み終わってみると「これってホームズの作品の中では異色の部類では?」という何とも言えない読後感でした。
本格推理、というよりはサスペンス・ホラー寄りでホームズらしさを堪能するというよりは、別にホームズの必要性がない推理小説として楽しむ内容かなと。
脱走した囚人、怪しい執事、月を背景に立つ謎の男(分かり易い)、風変わりな近隣住人、そして伝説の恐怖の犬。
面白い要素は揃っているんですが、肝心の重要な情報をいつの間にかホームズが握っており、結局それが一番の武器となって事件解決へと導かれます。
この辺りが「ちょっと雑じゃない?」と思ってしまいました。
推理や推測は可能だとは思いますが、その情報に辿り着く過程はホームズから後で語られるだけで、ヒントもへったくれもありません。
サスペンスやホラー小説としても正直イマイチかな、と。
やっぱりホームズが堪能出来てこそのホームズシリーズだと個人的には思っているので、「別にこれホームズじゃなくても良くないか?」と思ってしまった本作品は久々のホームズにしては物足りなさを感じずにいられませんでした。
という訳で、読む順番を間違えたと反省しております。
本当はシンプルに『シャーロックホームズの冒険』から読めば良いのでしょうが、『シャーロックホームズの冒険』だけは何故か記憶に残っている作品が多いので敢えて避けたのが裏目に出たかもしれません。
これに懲りず今年はまだホームズシリーズを読もうと思っていますが、次は何を読もうか楽しく悩むことにします。
『バスカヴィル家の犬』
★★☆☆☆ / (2点)