映画が観たい、というよりも映画館でビージーズが聴きたくて観に行きました。
ただ映画自体も元々好きでした。
タイトルからするとイケイケな青春映画というイメージを持ちますが、実際は現実的な青年たちの実情が描かれています。
貧しいながらも仲間と楽しく過ごす主人公のトニーですが、週末に訪れるディスコではキングの称号を得る程の人気とダンスの実力を持ち合わせています。
そのダンスのシーンは圧巻で、ずっと観ていたくなるほどです。
ただ、そういう派手なシーンよりも自分はトニーが現実と向き合う流れが非常に好きです。
例えば、トニーは元々貧しい暮らしをしていますが、仕事ぶりを見ても仲間とのやり取りを見てもかなり器量が良いことが窺えます。
その証拠にトニーは職場のペンキ屋から引き抜きの話をされますが、店長は昇給の話を持ち出し、トニーを引き留めます。
トニーは昇給のことを喜びますが、父親は少額の昇給に喜ぶトニーをバカにします。
そんな現状でも喜び、楽しみを見出だすトニーに自分はほっこりします。
そんなトニーがブルックリンとマンハッタンに架かる橋のシルエットを指でなぞるシーンはビージーズの曲も相まって屈指の名シーンだと思っています。
前半はそんな様子だったトニーも、あることをきっかけにペンキ屋をクビになりかけますが、トニーのことを気に入っていた店長はまたもトニーを引き留めます。
トニーも最初は喜びますが、店長は「ここで働いている者はみんな長く勤めている。お前も長く勤めてくれ。」というような店長からしたら前向きな言葉をかけますが、その時のトニーの表情がたまりません。
台詞にはありませんが、店長のその言葉に対して「俺はこのままで良いのか?このまま老いていくのか?」という想いが表情から読み取れるからです。
その後、自信のあったダンスでも実力差を見せつけられ、より一層現実に対する不安と不満が表面化していきます。
結局、映画の結末としては現在の暮らしから抜け出すことを決意しますが、胸に秘めていた夢には区切りを浸けたように見えます。
ヒロインとのやり取りよりも、この台詞にならないトニーの気持ちが分かるシーンがたまらないのがこの映画の良さだと個人的には思っています。
そしてダンスシーンもさることながら、やはりこの映画の魅力を引き出しているのはビージーズを始めとした音楽でしょう。
この映画のサントラは何度聴いたか分かりませんで
特にビージーズの「愛はきらめきの中に」は名曲中の名曲だと思います。
映画を観てからビージーズばかり聴くようになってしまいました。
まず映画館でビージーズが聴けたこと、そしてトラボルタのダンスシーン、更にトニーのやりきれない心象風景が観れたことに大変満足です。
そしてビージーズ最高。