読む直前まで岡嶋二人の片割れだと気づいてませんでした。
そんな感じですので、井上夢人さんの作品は初めてになります。
作者が大好きなビートルズのアルバム『ラバーソウル』が大元になっている本作。
アルバム名だけを聞いてもピンと来ない方もジャケットを一度は見たことあるのではないでしょうか。
そんな『ラバーソウル』自体は既に耳馴染みだったものの、正直世界観や歌詞は一切理解していませんでした。
どうしてか、ビートルズは後から知るこういった世界観や蘊蓄がとてつもなく面白く感じる。
この本を読んで、改めてビートルズってスゲーなと思った次第です。
この本のおかげで久々に聴いたポール・アンカにハマり中です。
そんな洋楽の話はさておき本の内容ですが、個人的にはイマイチでした。
つまらなくは無いのですが、レビュー等にもよく書かれている通り、長いと感じてしまいました。
約700ページあります。
それでも本当に面白い本は長さを感じずに読めてしまいますが、本作はダメでした。
自分が表紙だけ見て勝手にハードボイルドものだと思いこんでいたのも良くなかったかも知れません。
ビートルズマニアの鈴木誠は容姿が醜く、度重なる整形手術も上手くいかず、余計に悪化してしまう程でした。
そんな見た目が化け物が1人の女性に心を奪われ狂っていく物語です。
最初の方から何か違和感がありました。
幾つか「もしかして、こういうこと?」という推理が頭に浮かびました。
その推理が確信に近くなったのが三島江利子の過去の話が出てきた時です。
あの辺りからこの作品の視点が変わりました。
それでも確信にはイタラズ、終盤のネタバラシまで来た時にはもう長さを感じていました。
ネタバラシまでの展開がもっと早くして欲しかったかなと。
ただ、それもこれも恐らく『ラバーソウル』になぞって進行するというルールのせいかもしれません。
この作日、構成がとても凝っていて各章のタイトルがビートルズの『ラバーソウル』の楽曲順になっています。
レコードが元になっているのでA面、B面に分かれています。
それだけなら他の作品でも似たようなものがありますけど、上手く言えませんが構成がお洒落です。
ちなみにビートルズの『ラバーソウル』の歌詞や世界観を知っている人には、この本の仕掛けは見破りやすいかも知れません。
正直、この作品の自分の感想は各レビューの否定的なものとほぼ同じかと思います。
つまらなくは無いけど面白くもない。
ただ長かった。
それに尽きます。
『ラバーソウル』
★★☆☆☆ / (2点)