一つ前の記事の『時計仕掛けの恋人』で書き忘れた余談があるのですが、スズキ・ジムニーって海外ではスズキ・サムライって名称で輸出されてるんですね。
知らなかった。
と、本作には一切関係ない余談でした。
本作を読もうと思ったのは、今月に文庫で新刊が出る予定の続編が面白そうだと思ったからです。
それはただの直感です。
それで調べてみたところ、シリーズもので一作目は本作だと分かったので手に取りました。
2018年度の鮎川哲也賞受賞作品ということです。
本作は中学生の日常をテーマに、また北海道を舞台にした推理短編小説です。
wakuwaku-mystery.hatenablog.com
個人的に『氷菓』はイマイチでしたが、『探偵は教室にいない』は面白かったです。
登場するのは殆ど中学生ですが、自分からしたら全員大人びて見えます。
少なくとも自分の中学時代から考えると皆大人びています。
「これは高校生くらいの設定でも・・・」と思いましたが、本作に収録されている最終話を読んで考え方が少し変わりました。
大人びているなかに子供っぽさを秘めている感じが読み取れたからです。
その辺の設定はともかく、ミステリーとして見てみると第一話、第二話はちょっとイマイチかも。
というのも、謎解きの答えが割とすぐに分かってしまうからです。
ただミステリーとしてはイマイチでも、物語の導入としては十分面白かったです。
第一話は主要人物の描写や舞台設定に関してはほぼ最初の話でよく分かるようになっていて、ただ探偵役だけがちょっと曖昧な感じが逆に良かったです。
第二話はサブキャラの岩瀬君にスポットが当たる話ですが、この岩瀬君が好きなんですよね~。
探偵役の鳥飼も好きですけど。
この話の最後に岩瀬君が放つ台詞が最高に気に入ってます。
第三話はいよいよ探偵役の鳥飼の変わりっぷりが本領発揮します。
このちょっと鼻につく嫌な感じ、でも頼りになる感じがちょっとホームズに似てるかも。
自分も札幌から函館までスーパー北斗に乗って移動した際に石狩湾の景色を見ていますが、それを思い出しました。
しかし、主役の一人である真央は勘違いから友達に悪口を言ってしまう場面がありますが、この辺りから中学生らしさが感じられて好きです。
最終話が一番好きですね。
これが一番ミステリーらしいかも知れません。
最後迎えに行ったのが探偵役の鳥飼というのがちょっと意外でした。
全体的にとても読みやすく、面白かったです。
でも、物足りなさを感じる人も居るかも知れません。
ミステリーとしては確かにもう1つ、という所かも知れません。
ラノベっぽい感じがあるのも否めません。
でも、自分は何か好きですね、この作品。
続編も読むつもりです。
『探偵は教室にいない』
★★★★☆ / (4点)