年始早々に更新が滞ってしまいましたが、読書欲は増している今日この頃です。
『ユージニア』等の推理小説も書いている恩田陸ですが、自分はこの作品が初めて「読む」恩田陸作品です。
読むのは初めてですが、映像作品では子供の頃に「六番目の小夜子」を見ていました。
あれも面白かったな~。
この『蜜蜂と遠雷』はどうしても読みたいと思っていた作品の一つです。
文庫化される前から読みたくて仕方なかったのですが、上下巻だったこともあり、また楽しみ過ぎて逆に先延ばしにしていたということもあります。
直木賞も取って本社大賞も受賞してる作品ですからね。
結論から言えば最高の作品でした。
あと何回も読みたい。
それくらいの感動を味わえた作品でした。
自分はクラシック音楽には疎いのですが、この作品を読んだ人は少なからずクラシックミ音楽に興味を持つのではないでしょうか。
自分は騒音をかき消すためにイヤホンをして読書をすることもあるのですが、この作品を読んでいるときに聴く音楽が手元に無い事に気づきました。
仕方なく「テイルズオブレジェンディア」というゲーム音楽が全編クラシックで構成されたオリジナルBGMだったので、そのサントラを聴いていました。
いやこのサントラも改めて素晴らしいアルバムでした。
そんな話は置いておいて、本作はピアノのコンクールの話になります。
とあるコンクールに参加する者の中から、あるいは関係者の中から視点が切り替わりながら物語は進んで行きます。
自分が特に好きだったのは高島明石という人物で、逐一感情移入してしまいました。
特に自分が一番感動してしまったのは何故か第一次予選の
「22 TAKASHIMA AKASHI」という文章から始まる高島の演奏シーンでした。
自分でも何故このシーンが一番なのかというのが分かっていないのですが、得体の知れない緊張感と感動の波が押し寄せてきました。
というか、この作品は感動させに来てるシーンよりも何気ないシーンでグッとくることが多々ありました。
下巻だったら、ある人物が言う「さあ、音楽を始めよう」という一言はとても感動しました。
そうそう、この物語はコンクールの話なので物語が進むにつれて落選者が出て、最後に入賞者が決まる訳なんですが、後半に差し掛かった時には「もしかしたら入賞者は明かされないまま終わってしまうかも知れない」という危惧を感じていました。
何故なら最後の「本戦」の場面はそれまでと打って変わって短めになっているからです。
残りのページ数からして「もしかして・・・」と思っていたのですがちゃんと入賞者と順位は発表されました。
自分が思っていた人とは違う人が優勝していましたが、実際誰が優勝したかは読んでお確かめを。
この発表の演出もまたグッときました。
以前とある番組でくるりの岸田繁さんがウィーンでクラシックコンサートを鑑賞した際に、それが衝撃的過ぎて「今まで聴いていたのは音楽じゃなかった」と述べていたことがとても印象に残っています。
その体験が元になって岸田さんはご自身で交響曲を書いているらしい。
それもいつかは聴いてみたいとは思いますし、この作品を読んでその思いは強くなりましたが、それよりもこの作品を元にしたアルバムをまず聴いてみたい。
この作品とは関係ないところで以前からピアノには興味を持ち始めていたので、いいきかっけになればいいなと思っています。
とても素晴らしい作品で感動を言葉に出来ません。
余韻までがこの作品の楽しみだと思っています。
とにかく読んで欲しいし、自分もまた読みたい。
続編もあるということですし、映画化もされているということで両方楽しみにしています。
『蜜蜂と遠雷』
★★★★★ / (満点)