22年末に出た新作が目に留まって気になってしまい、1作目を探したら丁度冬に読むのに良さそうだということで、他にも未読の本を抱えているにも関わらず買ってしまった一冊です。
年末に出た方の作品はこのミスでもTOP5に入れている評論家の方も多かった印象です。
まずこの本を読んで素直に思ったことですが、自分がこの作品を読むのは早すぎた気がします。
「密室トリック」とディクスン・カーを真っ先に思い浮かべる人は多いかと思いますが、自分はカーの作品をまだ一冊も読んだことがありません。
勿論今後読むつもりは満々なんですが、自分には現時点での密室トリックに関する知識や見聞が殆ど無いと言っても過言ではありません。
この作品の中でも「これは定番」なんて言われるトリックが幾つか紹介されますが、「本当にそんな単純なトリック使われてるの?」なんて腑抜けた感想しか出てきませんでした。
これが玄人の推理小説好きの方であればある種の感動や頷きがあるのかもしれませんが、自分にはあまり・・・。
という前置きをした上で、改めて本作は密室トリックに特化した作品であります。
日本で初めて起きたという密室殺人事件の判決において「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」という判例が下され、以降密室に関する特殊な法整備が行われることになる架空の舞台設定となっております。
そんな中でタイトルにもある通り六つのトリックが披露されます。
「おっ!」と思うトリックもあれば「うーん・・・」というようなトリックも。
理屈は分かるけど可能なの?どうやって用意するの?なんて疑問も。
絵を想像で補うしかない以上、密室トリックってファンタジーなのかも、なんてことも思ったりしました。
登場人物の設定や物語の進め方などはライトノベル風で読み易くはありました。
ただそれが面白いかと言われれば、自分はそこも面白いとはあまり感じませんでした。
むしろそっちのが個人的にはマイナスが大きい気がしています。
物語が面白ければ推理面が拙くても楽しく読める気がしていますが、この作品は個人的には推理面も物語面もいま一つでした。
嫌いではないんですけど、ちょっとキャラが弱いかな。
飽くまで個人的な感想ですが、中途半端なラノベみたいな印象です。
物語面は置いておいて、とにかく密室トリックに関しては自分の知識が少なすぎました。
だからなのか、密室トリックに関しても特に感銘を受けませんでした。
これは自分が密室トリック自体が好みでないのか、あるいはたまたま好きでなかったのか、まだ判断がつきません。
今後多ジャンルの推理小説を読み漁ることでその辺の好みはよりハッキリとしてくるのかも知れません。
まとめると、推理小説特有のワクワクが殆ど無かった、個人的にはそんな一冊でした。
『密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック』
★(★)☆☆☆ / (1.5点)