アガサ次郎の推理日記

推理小説好き(初心者)です。主に読んだ本の感想を書き込んでいきます。

乗客ナンバー23の消失 / セバスチャン・フィツェック

これは大分前に衝動買いした一冊です。
帯に書いてある宮部みゆきさんの推薦文と、豪華客船を舞台としたスリラー物ということで興味を惹かれ、購入しました。

事前に思い込んでいたのはもう少し旅情感のあるお話でしたが、はっきり言って旅情感は皆無です。
それ以前に、お話としてはグロや性描写も多めです。
それはそれで自分の思い込みが外れたのは全然構わないのですが、もしそういった旅情感のあるサスペンスを期待するなら止めておいた方が良いでしょう。

帯に書かれた宮部みゆきさんの推薦文は「ほんの数行で展開が変わるジェットコースター・スリラーなので目を話してはいけません」とありますがらジェットコースター・スリラーなのはその通りでしたが、「ほんの数行で展開が変わる」は誇張表現だったと思います。

そんなケチを付けましたが、やはり目まぐるしく展開していく緊張感のあるサスペンスはグイグイと引き込ませてくれます。
登場人物の殆どが絶望的な状況に追い込まれているので、ハラハラさせられます。
またグロテスクな場面もあり、それが気持ち悪いと思いつつも刺激的で、とにかく先が気になる展開の連続でした。

物語終盤では次々とどんでん返しが起こりますが、ハラハラする展開が収まった後だからか、驚きの連続ではありますが少し疲れる展開でした。
特に後書きの後に掛かれている後日談は、個人的には不要だったかなと。
確かに後書きに出てきた登場人物たちはどうなったのかな?と気にはなっていました。
が、後書きのクオリティが個人的にはイマイチでした。
これなら「どうなったの?」と想像の余地を残して終わってくれた方が自分としては良かったです。

先にも述べた通り、少しグロい描写や性的描写も多く、不快になる方もいるかも知れません。
ただサスペンスとして大事な「この先どうなるの!?」という好奇心は殆ど常に刺激されますし、どんでん返しでの驚きもあります。
読後感も良いとは言えないかも知れないですが、それほど悪くもありません。
宮部みゆきさんの推薦文通りのジェットコースター・スリラーが読みたい方には、丁度良い一冊かも知れません。



『乗客ナンバー23の消失』
★★★★☆ /(4点)