ブログのタイトルにもしている通り、自分はアガサ・クリスティが好きです。
好きではありますが、まだ全てを読破したわけではありません。
ノン・シリーズ、トミーとタペンス・シリーズ、そして短編集は殆ど読んでません。
自分が未読の作品の中で、一般的にクリスティの特に名作と言われているのが『ゼロ時間へ』です。
『ゼロ時間へ』ではポアロシリーズでも登場したバトル警視が主役級の活躍をすると、紹介文にも書いてあったので、それならバトル警視物を一気に読んでしまおうと思い至りました。
(他にも名作と言われている物があるのは承知しておりますが、それはいずれ読むつもりです)
さて、この『七つの時計』ですが、実は連続物の2作目です。
1作目は『チムニーズ館の秘密』という作品で、クリスティの中でも珍しい冒険譚でした。
クリスティで冒険譚というと『ビッグ4』が頭に過ぎる方もいるかも知れませんが、『ビッグ4』とは違って『チムニーズ館の秘密』はかなり面白かったです。
さて、そんな『チムニーズ館の秘密』は当ブログを開設する前に読了してしまいましたので、今回は簡単な紹介と感想に留めるとして・・・。
『七つの時計』も前作と同じく冒険譚となります。
前作で出てきた人物で今回も出てきた者はケイタラム卿、バンドル、ビル、ロマックス、トレドウェル、そしてバトル警視です。
その中でもビルは前作と少しイメージが違いました。
なんというか・・・前作もちょっとウザったくて憎めない奴ではありましたが、前作ではもう少し落ち着いた奴かと思ってたんですが・・・。
ところでこのビルですが、前作ではある女性にゾッコンでしたが、今作ではまた別の女性にゾッコンで、尻軽感が否めませんでした。
嫌いじゃないですけどね。
さて、『チムニーズ館の秘密』もそうですが、冒険ミステリーですので、当たり前ですがちゃんとミステリーしています。
今作では序盤に二人が立て続けに亡くなり、そのうちの一人が死ぬ間際に呟いたメッセージから謎が発展していきます。
一見すると事故に見えた事件が、実は故意に引き起こされた殺人の可能性がある、さて、一体誰が?そもそも何故殺されたのか?
その謎に好奇心旺盛なバンドルと残されたメッセージに出てきたジミー、そして巡り巡って居合わせたロレーン、バンドルをサポートするビル、そして中盤の事件から絡んでくるバトル警視・・・色々な人物が色々な人物と絡んでるため、うっかりミスリードされ易いかも知れません。
自分は見事に騙されました。
終盤で明かされる真実ですが、全く想定外過ぎてかなり驚きました。
てっきり『ビッグ4』のような展開になるかと思ってましたが、全然違いました。
自分が推測してた犯人はバンドルと同じでしたが、正直根拠はありません。
正直真犯人のことも頭に過ぎらなかった訳ではありませんでしたので、犯人が意外、というよりも別の驚きがありました。
また真犯人ともう1人事件に関係している人物が居た訳ですが、そっちに関しては全く疑っていませんでしたので、そちらはかなり驚きました。
いやはやしかし、振り返ってみると流石はクリスティと思ってしまいます。
無駄な描写が殆ど無いのでは?と思えます。
探偵役のバンドルも好きです。
『チムニーズ館の秘密』を読まないでも『七つの時計』は読めますが、やっぱり前作から読む方が良いでしょうね。
冒険あり、ミステリーあり、ロマンスあり・・・これだけ見ると優し目のホームズと言えそうなくらいです。
クリスティの作品で、バンドルみたいなお転婆な探偵が出てくる小説ももう少し読みたかったな、そう思える一冊でした。
七つの時計
★★★★☆ / (4点)