このブログで書いたことがあるか分かりませんが、大好きなミュージシャンの1人であるスガシカオが書いた小説が、先日発売されましたアルバムの初回盤の特典として同梱されております。
今回はその実録小説のことを書き綴りたいと思います。
ちなみにアコースティック・ソウルというのはアコースティックギターを使った弾き語り形式のようなアルバムのことではないということです。
アルバムはまだ聴けていませんが、「見る前に跳べ.com」等旧い曲も収録されており楽しみです。
「見る前に跳べ.com」は確かスガシカオが一時インディーズに戻った時にリリースされた曲で、itunesストアでしか買えなかったので持ってなかったんですよね。
さて、肝心のアルバム本編はまだ手付かずですが、特典の小説の方を先に読了しました。
これが読みたくて初回盤を予約していましたので。
この小説、元々スガシカオがアメブロで記事にしていたものを再編集した物も多いみたいですね。
自分はブログの方は読んでいなかったので、知りませんでした。
さて、タイトルにもある【ヤグルトさん】というのはスガシカオの母親のあだ名となっております。
これは自分も知っておりました。
そんなスガシカオの母親の事を中心に書いた小説が本特典となっております。
スガシカオの母親は戦争も体験している方で、そういった戦争体験の話も少しだけ出てきます。
またスガシカオ自身も含めた貧困生活の話や苦労話などのエピソードも多く出てきますが、スガシカオの文才やヤグルトさんの天然ボケな性格のおかげもあって全体的にユーモアに富んだ作品となっており、結構笑えました。
所々に曲のモチーフとなったエピソードも挟まっており、それも面白かったですね。
「エアロスミス ライブインジャパン」のエピソードはオチが秀逸過ぎて感動しました。
小説の中盤頃にはスガシカオの父親の話が主となったエピソードが展開されております。
スガシカオの父親のエピソードと言えば、スガシカオの楽曲である「ふるえる手」や、「ふるえる手」が収録されている『THE LAST』というアルバムが出た時のインタビュー記事が思い起こされます。
「ふるえる手」では、アルバムの1曲目にして冒頭の歌詞「いつも震えていたアル中の父さんの手」から始まる歌詞が印象的で、インタビュー記事ではスガシカオが「父親との関係が例え希薄であったとしても、男にとって父親の死というのはとても大きなことなんだ」というような事を言っていたのが印象的でした。
今でも鮮明に思い出せる程の印象を残した、自分の伯父が亡くなる瞬間を病室で迎えたときのことがフラッシュバックしました。
しかもスガシカオの文章の書き型が本当にズルくて。
スガシカオ自身の気持ちとか精神状態が殆ど汲み取れないような文章になっているんですよね。
実際に起こった事実や事件とか、ヤグルトさんのエピソードとか、そういった具体的な話が書かれているので面白く読めるんですけど、スガシカオ自身がどう感じているか、どう考えているかというのは読者側からすると推量するしかない文体になっていて。
それが色々な想像を掻き立てることになって・・・ズルいよスガシカオ。
以前スガシカオが「自分の一番の、誰にも真似できない特長は歌詞だと思ってる」って言ってたのを思い出しました。
そんなスガシカオがこの実録小説の中では
詩というのは書くものではなく、書かされるのものだといつも思う
と言っていて、そういうものなのかと妙に納得してしまいました。
小説もそうですけど、歌詞も含めて詩を書くって本当にセンスの塊だよな・・・。
自分が好きだと言い切れる歌詞を書く人は片手で数えられるくらいですが、スガシカオはその中の一人です。
この小説を読んだ事で先ほど挙げた「ふるえる手」、そしてそこから繋がる「アストライド」への流れも綺麗にハマったし、音楽的にも意味のある小説になっていると感じました。
小説の最後に載っているスガシカオとヤグルトさんが写っている恐らく最近の写真もとても良いですね。
この二人の強さに、なんだかんだ言って、令和の現在でも根性ってやっぱり必要な武器だよなと改めて思いました。
大げさですが、生命力の源について考えさせられた小説でもありました。
そんなスガシカオももうすぐ還暦ですか。
前作『イノセント』も素晴らしいアルバムでしたし、まだまだ突き刺さるような音楽を届けてほしいですね。
そういえばヤグルトさんが「アイタイ」が好きって書いてあって、結構意外でした。
自分のこの曲好きなんですけど、どちらかと言うと通好みな曲なのかなと勝手に思っていたので。
あと久々にもんじゃ焼き食いたくなったな。