やっと読みました。
57年ぶりの新訳版ということで、そもそも入手困難な作品の一つでした。
自分も電子書籍で『日本庭園の秘密』のタイトルで出ている物を読もうかと思った時もありましたが、偶然中古で創元推理文庫の『ニッポン樫鳥の謎』を手に入れることが出来たのが約2年前ほどの事らしいです。
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で、今回2年ぶりに読んだ訳なんですが・・・。
正直に言ってしまうと、これほど短い間隔で読み直すほどの作品ではないですね。
自分で選んでおいてなんですが、内容も割と覚えてますし、しかも覚えていて尚読み直したい類の作品でもありません。
『靴に棲む老婆』も久々の新訳だったということでしたが、あちらはとても面白かったのに対し、本作は57年新訳が出なかったというのも頷けてしまう感じがします。
本作は初めて?なのかよく覚えていませんが密室トリックが使われていたりだとか、日本の文化の話があったりとか、無駄にラブロマンスがあったりとか、見どころはそれなりに用意されている気はします。
特に日本の文化の話は日本人からするとズレている部分も多く、それはそれで面白いです。
ただし謎解き部分に関しては相変わらずエラリーは説明がくどいし、謎解きもグッとこないし、ストーリーも魅力薄いし・・・。
そんな中で、やっぱりラストだけは印象深いですよね。
これって後期クイーン問題に引っかかってくるような気もするんですけど、自分的にはこの着地はあまり好きでないです。
説得力が弱いような。
こういうラストを迎えた作品はクイーン以外の作品でもあると思いますが、他のはもっと説得力のある説明がされてる気がします。
そもそもなんですが、本作の巻末の解説に書かれている内容が自分の認識と結構ズレてるんですよね。
このパターンの解説は初めてで、自分の理解が足りなかったというのなら今までにも全然あるんですが、「その認識合ってます?」っていう解説になると、どうもモヤモヤが残ります。
ただ豆知識的な事を教えてくれたのは面白くて、キヌメはキヌエから来てるのではという説は興味深かったですね。
色々と悪い点ばかり書いてますが、読み直して改めて良かったと思った点もありますね。
序盤の船でのマクルーア博士の電話の件や、読み直しても尚ムカつくリチャード警視等(笑)
本作のリチャード警視のとあるシーンでの暴露は割と本気で腹立ちますね。
しかもその段階では結局全くの見当外れだったという。
こうなると逆にリチャード警視が活躍する話っていうのも読んでみたいですね。
今のところ、ただ権力振りかざしてる苦労人という印象しか無い気がします。
そこが好きだったりもするんですが。本作では結構マイナスな印象が残ります。
手に入り易くなった、ということで本作が出たのはとても意義のあることだと思います。
ただ個人的には前回からの間隔が短すぎました。
なかなか読み進められなかったな~。