『十日間の不思議』を読んで「次はこれだ!」と思いました。
丁度書店で見かけて気になっていたんですよ。
ということで、あの人気作『方舟』の作者が書いたミステリー小説です。
期待もそこそこに読んでみました。
読了後に色々なレビューを見てみましが、驚きました。
あまりに評価が高かったからです。
正直軽く絶望しかけました。
日本の音楽シーンでは自分がついていけず(好きになれず)、時代に取り残されたような感覚を覚えて久しい気がします。
でも、もしかしてそれはミステリー小説に関しても同じことが言える状況になってしまったのではないかと。
そんな風に思ってしまいました。
つまりは、はっきり言って自分にとって本作は物凄くつまらない作品でした。
徹頭徹尾面白くなかったです。
無理矢理な物語、無機質なキャラクター造形、こういっては何ですが面白味の無い事件、意外性を狙ってしまった結末、そして何より前作『方舟』が足枷になってしまっている感じが否めません。
まず物語についてですが、もう無理矢理感が最後まで拭えませんでした。
「前作が売れたから出版社に詰められて無理矢理書かされたのでは」と邪推してしまいそうな展開の連続で、オチまで含めてメチャクチャでした。
そして物語を彩るはずのキャラクター造形。
これならいっそ、キャラクター造形をライトノベル風にして物語を面白くしてもらえれば、話にもう少し没入出来て良かったかも知れません。
魅力的な登場人物が一人も登場しない。
強いて上げるなら野村さんだけは良かったかも。
それと探偵役が究極の状況で覚醒する一般人というのは過去の様々な作品でもあった流れですけど、本作のそれはちょっとそういうのとも違う。
違和感ありまくりです。
で、一番問題なのは事件性の部分かも知れません。
最初の事件が起きたあと、クローズドサークル状態の一行に「十戒」という名の10個の禁止行動を定めたルールが犯人から突きつけられる訳ですが・・・。
これが上手く機能しているとは思えない。
少なくとも、この縛りが作中に緊張感を与えて読者側の没入感を煽る・・・という効果は自分には全く感じられませんでした。
あと、このルールのせいで容易に犯人が分かってしまうことも問題あると思います。
それから最後の解決編。
1つも「ああ!なるほど!」ってなりませんでした。
こんなに解決編が盛り上がらない作品は、ちょっと思い起こせないかも。
そして最後の「オチ」ですよね。
ここは賛否両論あって当然と思いますが、自分は断然否定派です。
この「何やってくれてんだよ!」っていう怒りにも似た感覚は、アガサ・クリスティの『死との約束』に似ている気がします。
ということで、こんなに「勘弁してくれよ・・・」って気持ちになる作品は久々でした。
次の作品があるなら、一旦『方舟』の呪縛から解き放たれている作品を読みたい。
ただ、もう一度どこかで『方舟』の流れに乗る必要が本作で生まれてしまったことは間違いないと思う。
余計な一作にしか自分は思えませんでした。
