初めての金田一耕助シリーズです。
自分は幸か不幸かドラマでも一度も金田一耕助シリーズは観てませんので、全く知らない状態で読み進められました。
読み終わってから気づいたんですが、どうやら読む順番を間違えてしまったようです。
角川文庫の金田一耕助シリーズだと『八つ墓村』がファイル1になっていました。
金田一耕助の初出は「本陣殺人事件」だということだったので、てっきり本作がシリーズの最初だと思い込んでいました。
まぁ、問題はないと思いますが・・・。
そもそも何故に金田一耕助シリーズを読もうかと思ったかと言えば、ひとえに『獄門島』が読みたかったからです。
いきなり『獄門島』から読んでも良かったのですが、日本の三大名探偵の1人ですから、どうせなら他の作品も読みたいと思い、初出である『本陣殺人事件』から読みました。
本書は短編集のような形式になっており、全部で3篇の物語が収録されています。
最初が表題の「本陣殺人事件」です。
・本陣殺人事件
名作ランキングにも名を連ねている本作ですが、なるほど金田一耕助の初出ということもあり、なかなかに読み応えのある内容でした。
自分がこの話で一番面白いと思ったのは密室のトリックでも真犯人の正体でもなく、犯人の動機でした。
これは人によっては評価が分かれる点のような気がしますが、個人的には凄く納得しました。
まぁその手前で怖くなってしまいそうではありますが・・・。
短い話ではありますが、十分推理小説の醍醐味を味わえました。
それと、本作を読むまで金田一耕助に吃る癖があるとは知りませんでした。
舞台設定が戦時中で年代が近いということもあり、三島由紀夫の『金閣寺』を思い出しました。
・車井戸はなぜ軋る
個人的にはこの話が一番面白かったです。
正直トリックだとかは分かってしまうと呆気ないものではあるんですが、単純にお話として面白いと思いました。
舞台が戦時中らしい話が続いて、「本陣殺人事件」もそうでしたが盛者必衰の理、諸行無常の響きあり、といった感じが好きです。
故にこちらの話も犯人の動機が良いです。
ただし、金田一耕助の話でなくても良い話ではありますよね。
・黒猫亭事件
正直、この話は退屈でした。
金田一耕助という名探偵が居なければ、本当に凡庸な話だと思います。
さて、冒頭でも述べた通り、読む順番を間違えてしまったけど、この後どうしようか迷っています。
正直、金田一耕助シリーズはどこから読んでも大丈夫な気がします。
それと、作者の発表順で行くと、長編だと『本陣殺人事件』の次が『獄門島』になっているんですよね。
なので、恐らく次はいよいよ、という程でもないのですが『獄門島』を読むと思います。
非常に楽しみです!
『本陣殺人事件』
★★★☆☆ / (3点)