今日の時点で読了している中では一番最後に読んだ本です。
もう順番がぐちゃぐちゃになっているので、一番覚えている本から記事にしようと思います。
これも『ノースライト』や『検事の本懐』等と同じく、会社の同僚(と言っても大先輩)から借りた本になります。
ちなみに、この本も『ノースライト』と同じくさり気なくリクエストした作品になります。
これは映画を先に観ていて、原作を後に読むというパターンでした。
映画は一度しか観ていませんが、印象には残っていて、個人的には面白かった映画でした。
昨年は映画の続編が公開されましたが、今日紹介するのは映画化第1弾の原作となります。
まず率直に思ったのは「映画ってかなり原作を忠実に再現出来ていたんだな」ということ。
映画を思い出しながら読んでいましたが、細部は勿論異なるものの、自分の記憶と印象では殆ど同じ展開だったかと思います。
ただし、ラストだけは大幅に変わっていました。
映画ではド派手で個人的には衝撃的なラストだったんですが、原作の方ではあっさりというか、細かい描写はなく年表でその後を描いただけの淡泊なものでした。
その後の年表も映画とは大きく異なっており、原作の方がリアルかも知れません。
映画のラストの方が個人的には好きなんですが、ネットで原作と映画の違い等を追っていくと「確かにちょっと無茶な着地だったかも」と思ってしまいました。
ただ、細かい理屈を抜きにすれば、映画のラストは好きでした。
もう一つ思ったのは「映画の方が暴力的だったな」ということ。
これは意外だったんですが、自分はてっきり原作の方が暴力的な表現が多いのかと勝手に思っておりました。
しかし、実際には映画の方が暴力的でグロくて、凄惨な描写が克明に描かれていたと思います。
勿論、文章と映像化ではその間に大きな隔たりがあることは分かっていますが、その前提を理解した上でも映画化の方が暴力的だったかと思います。
特にこれもラストの方の展開が映画では暴力的表現をエンタメに昇華したような方法で(自分はそう感じました)描かれていましたので、インパクトも大きかったです。
一方の原作では細かい死体の描写等はリアルではあったものの、特段暴力的かつ凄惨なシーンというのは殆ど見当たらず、意外とこちらも淡泊でした。
勿論、それが悪いという訳ではありません。
ただ、自分のように映画のイメージが先行している人からすれば、ちょっとばかり肩透かしを喰らうかも知れません。
ついつい映画との対比をしてしまいますが、原作も十分面白かったです。
長さ的にも丁度よく、面白さも相まってあっという間に読めました。
細かいヤクザのバックボーンなどは原作の方が細かく描かれていたこともあり、映画以上に大上についつい肩入れしてしまいました。
最後も映画のイメージの話になってしまいますが、原作を読んでいて役所広司の凄さが改めて分かった気がします。
原作を読んでいても、日岡なんかは松坂桃李の顔が浮かぶことはあまり無かったんですが、大上だけははっきり役所広司の顔を思い浮かべて読んでしまいました。
それは、役所広司の凄さだけではなく、著者の柚月裕子氏の描くキャラクターとしての魅力も強かったからだと思っています。
意外とこういったハードボイルド小説も自分は好きなんだなと新たな発見が出来ました。
その内に読もうと思っている『新宿鮫』も楽しみにしていますし、それ以外にも興味が持てそうなそっち系の作品がないか調べてみようと考えています。
とにかく、映画共々面白い作品でした!
『孤狼の血』
★★★★☆ /(4点)
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