以前からずっと読みたい、読まねばならないと思っていた作品です。
ガストン・ルルーの作品は『黄色い部屋の秘密』以来2作目になります。
いきなり話が逸れますが、オペラ座の怪人から自分が真っ先に連想するのが『金田一少年の事件簿』です。
ドラマ版の初代『金田一少年の事件簿』が現在の自分のあらゆる趣味嗜好の礎になっていると自分は思っているのですが、その初代ドラマ版でやったエピソードの中に「オペラ座館殺人事件」という話があります。
金田一少年の話にオペラ座が絡むエピソードは幾つかありますが、それらの中の最も初めに描かれた話ですね。
この「オペラ座館殺人事件」というエピソードが初代ドラマ版の中で1、2を争うくらい好きな話で。
故に自分の少年時代から『オペラ座の怪人』は気になる作品でありました。
それが何故か今まで未読だったのですが・・・。
ところで自分は『オペラ座の怪人』の劇や映画を鑑賞したことがありません。
これは今後観るつもりではいるのですが。
それらを踏まえてこの原作を読んだ時に、あの有名な台詞って原作にないんだ!ということに驚きました。
ただあんなドラマチックな台詞よりも原作の台詞の方が怪人の苦悩が描かれているような気もします。
ということで本作ですが。
分かっていたことですが、推理小説というよりもホラー小説の部類になりますかね。
前半は実在するかどうか分からない怪人に、徐々にその存在を認めざるを得ないような奇怪な現象が次々に起こり、怪人を信じないオペラ座の人々が追い詰められていく様子が描かれています。
自分は正直前半の方が面白かったです。
これは探偵ものにも通じると思いますが、怪人の存在を頑なに信じない支配人たちが怪人に翻弄される様子はなかなか面白かったです。
後半は話が打って変わって、ヒロインのクリスティーヌとその恋人役であるラウル、そして怪人ともう一名がラブロマンスを繰り広げたり、冒険譚を見せてくれてたり、サスペンスの緊張感があったりと、まぁ正直こっちがメインの話という事になるでしょう。
自分の本作に対する感想ですが・・・。
はっきり言ってイマイチでした。
レビュー等を色々と読むと大体が高評価のようですが、自分的にはあまり・・・。
後半で描かれるラブロマンスはどうも安っぽい感じもしましたし、クリスティーヌはどっちつかずの態度を見せたりしますし、怪人は怪人でその苦悩は分かりますけどちょっと傲慢過ぎて気持ち悪かった。
どの人物も好きになれず、物語として面白いかと言われても別に・・・というのが自分の感想です。
ただこれは、ひとえに自分の想像力が欠乏しているからなんだと思います。
怪人の苦悩等、本来は深みのある話なのかなとレビュー等々読んでいて感じました。
故に、やっぱり本作は映像作品で鑑賞したいです。
音楽だけは耳にこびり付いてますけどね。
ということで以前から読みたかった本作を読めたのは良かったです。
ただし、自分には本作の良さはあまり分かりませんでしたが。
そうそう自分が読んだのは昨年刊行された新潮文庫版です。
文章的には読むのは全く苦になりませんでした。
角川文庫がどうなっているかは知りませんが。
『オペラ座の怪人』
★★(★)☆☆ / (2.5点)