アガサ次郎の推理日記

推理小説好き(初心者)です。主に読んだ本の感想を書き込んでいきます。

『ホテル・ピーベリー』 / 近藤史恵

 

書店で目に入って、所謂ジャケ買いした作品です。

帯には「傑作ミステリー」と書いてありましたが、自分にはこの作品が傑作ミステリーだとは思えませんでした。

 

主人公が訳あって日本からハワイに3か月滞在しにハワイ島にやってくる所が始まりますが、未知の海外に足を踏み入れる所が沢木耕太郎の『深夜特急』を彷彿とさせました。

主人公が滞在する予定の宿が「一見様以外お断り」という珍しい宿で、序盤から不穏な空気だけは漂っています。

その宿で事件が起こる訳なのですが・・・。

 

事件自体は直球で言えばつまらないもの、ではあります。

ただこの宿自体が不穏かつ不思議な宿であること、滞在客の一人が「このホテルの客は、みんな嘘をついている」と言っていたこと、主人公含め皆秘密を抱えていること、などなどの謎の方が気になってしまいました。

 

深夜特急』を彷彿とさせると書きましたが、中盤で自分が思い浮かべていたのは京極夏彦の『姑獲鳥の夏』でした。

なんというか・・・『姑獲鳥の夏』で感じた気持ち悪さと同じような気持ち悪さがこの作品には詰まっている気がしています。

そしてこれはレビューにも書いてありますが、主人公がとにかく好きになれない。

ラストは主人公がホテルの秘密を解き明かして終わりますが、それすら気持ち悪い。

作中の気持ち悪い雰囲気とミステリーとしての評価は分けて考えるべきだとは思いますが、ミステリーとしても面白い物とは自分は思えませんでした。

ホテルの秘密と言っても、まぁそんなもんだろうな~くらいのことでした。

 

もう少しハワイの雰囲気が味わえる作品だったら良かったのにな~と個人的には思います。

ハワイの描写もあるにはあるのですが、ちょっと物足りない感じがします。

でもハワイって十一もの気候区があるとは知らなかった。

火山とか、観たらきっと主人公と同じく感動するんだろうな。

 

ページ数は300満たないくらいですし、字も大きめなので読み易いのはグッドでした。

でも、それだけだったかな。

ジャケ買い失敗、失敗。

でも新装版が出てるくらいだから人気作なのかな。

いずれにせよ、自分には合わない作品でした。

 

 

 

『ホテル・ピーベリー

★(★)☆☆☆  /  (1.5点)