この作品を読むまでよく知らなかったのですが、「このミステリーがすごい!」と『「このミステリーがすごい!」大賞』は別々の賞なんですね。
自分は前者の方は注目して見ていましたが本作の名前を見た覚えが無かったので、調べてみたら別々の賞だと気づきました。
ということで本作は第8回の『「このミステリーがすごい!」大賞』受賞作品です。
実は自分は本作の次回作に当たる『おやすみラフマニノフ』から読み始めました。
知人に拝借していたのですが、途中まで読み進めたところで事情があって貸主に返却してしまいました。
で代わりに借りたのが本作です。
本作がシリーズ1作目でしたので丁度良かったかも知れません。
あとがきで知りましたが音楽に纏わるミステリーというのは意外と多いらしく、本作もタイトル通り音楽・・・本作ではピアノですが、音楽の話が中心になるミステリー小説です。
事前からどんでん返しが起こるというのは帯に書いてあったので知っていましたが、はっきり言って大したどんでん返しではありませんでした。
むしろ予想通りでした。
ただ「そんなことあり得るのかな~」とは考えていましたが。
なので確信はありませんでしたが、まぁ十中八九そうだろうなとは思っていました。
色々なレビューも読みましたが、自分と同じくネタを見破った人も結構居るようで、「どんでん返し」を期待して読む作品では無いと個人的には思います。
そんなことよりも自分は本作を通じて読了後まで引っかかっていることがあります。
それは登場人物のほぼ全てが好きになれなかったということです。
探偵役の岬洋介含めてです。
比較的好きだった人で言えば主人公の祖父と主人公の手術を担当した医者です。
それ以外は全員好きになれなかった。
推理小説というよりも「小説」として楽しんでいた自分にとっては、結構致命的でした。
ただ物語としてはそれなりに楽しめました。
特に序盤の火事のシーンから治療して家に戻ってくるまでの描写は事件の悲惨さが伝わってきて、後半に向けてのバネになるには十分な役割を果たしていたと思います。
音楽的な側面は自分にはよく分からないことばかりでしたが、ピアノの奥深さみたいな物には触れられた気がしています。
本作は映像化もされているようですが、それはちょっと見てみたいかも。
でもこの作品、ミステリーの側面をまるっきり省いても結構面白いのでは。
映像化の作品がどうなっているのかは知りませんが、それくらい物語としては面白かったと思います。
全体的には物足りない感じがするのも否めませんが、読み易さとすらすら読めるだけの面白さは備わっていたと思います。
ただやっぱりキャラが好きになれなかったのは個人的には非常に残念でした。
まぁでも、それは自分自身の問題かも知れませんね。
『さよならドビュッシー』
★★★☆☆ / (3点)