ちょこちょこと読み進めていたので、早く内容が朧げになってしまっている部分があります。
率直な感想としては前作の『シャーロック・ホームズの冒険』の方が遥かに面白かったなと。
それは本作がイマイチという訳では無く、前作が偉大過ぎたんだなというのが個人的な感想です。
全部で11篇も収録されている本作ですが、印象的だった話を抜粋したいと思います。
まず最初の話だからなのか、1話目の「<シルヴァー・ブレーズ号>の失踪」は印象に残っています。
実は2つの事件が絡む複雑めいた事件ですが、ホームズがジンプルに推理していく様が好きでした。
この話とこの次の話だけは前作の雰囲気が残っている気がして、ホームズの捜査方法もまさにホームズのそれで、楽しかったですね。
自分には競馬の知識が全く無いのですが、どうもこの話の競馬絡みの記述は誤っているらしいです。。
続いて2話目の「黄色い顔」。
ワトソンのツッコミが的確で、あとがきを読んでいて思わず笑ってしまいました。
ホームズの珍しい失敗談の話で、ポアロで言うところの「チョコレートの箱」ですね。
それから「<グロリア・スコット>号の悲劇」。
これはホームズが手掛けた最初の事件ということで印象的ですが、そもそもホームズの学生時代に友人が居たという事もある意味驚きです。
「マズグレーヴ家の儀式書」が印象に残っているのは、昨年末に読んだ『ノッキンオン・ロックドドア』にこの話の話題が出ていたから。
そして「寄留患者」ですね。
これは物語の出だしが面白いな~と思ってあっという間に読んでしまった話でした。
この話が一番好きだったかも。
一体なぜ?という疑問から更なる疑問が生まれ、目的と顛末が明かされるという起承転結が巧くいっている話だと思います。
それから「最後の事件」。
モリアーティってこんな感じの登場だったっけ、というくらい印象が無かったんですが、読み返してみるとホームズをここまで追い詰める嫌らしさが印象を強くしてくれました。
名探偵コナンの最初の話、「ジェットコースター殺人事件」で工藤新一が嬉々として語るホームズの台詞
「またもしぼくに破滅がもたらされるようなら、公共の利益のために、甘んじてそれを受け入れよう」(訳・創元推理文庫版)
がこれまた印象的です。
ホームズの残した手紙が意外と優しさが残っていて、最後?に人間味を感じさせる終わり方だったのも印象的です。
ということで最初にも述べた通り、前作が面白過ぎました。
本作も面白くなかった訳ではないのですが・・・。
でも、『ノッキンオン・ロックドドア』でも本作の話が出たり、これから推理小説を読み進めて行く上ではやっぱりホームズは避けて通れないですからね。
次も読み進めないと。
『回想のシャーロック・ホームズ』
★★★☆☆ / (3点)