自分が推理小説にのめり込むようになったきっかけになったのはアガサ・クリスティでしたが、最初に推理小説に興味を持つきっかけになったのは本作『死者の学園祭』でした。
初めて読んだのは中学一年生の時で、当時毎朝読書の時間というのが10分程だったと思いますが用意されていて、必ず何かしらの本を読まなくてはならないという決まりがありました。
自分はハリー・ポッターくらいしか読んだことがなく、手持ちの本も無かったので在籍していたクラスに回ってきた貸し出し用の本たちの中から何となく手に取ったのが本作でした。
その時手に取ったのは上記アマゾンの紹介での前者の装丁の物でした。
後者のは今回改めて購入した物のデザインです。
前者の装丁は今見ると物凄く懐かしくて、この本を読んでドキドキしていたのが思い起こされます。
自分が最初に読んだ推理小説が本作ですので、特に思い出深い作品です。
この前『三毛猫ホームズの推理』を読んで久々に本作が読みたくなりました。
読むのは中学生以来です。
ただし、シャーロック・ホームズシリーズは何故か内容を殆ど覚えていない作品が多いですが、『死者の学園祭』に関しては何度も繰り返し読んだからか内容も割と覚えていました。
ただし、記憶違いの部分も結構ありましたが。
想い出は美化されがちなものですけど、本作に関しても中学生の時はドキドキ・ワクワクしたものでしたが、大人になって読み返してみるとそこまでの感情の起伏はありませんでした。
でも、だからこそ中学生の時に読んでおいて良かったとも思います。
本作はミステリー大好きな女子高生である真知子(なんとミステリーを原書で読むほどのマニア)が屋上から飛び降り自殺したクラスメイトの不審な死に興味を持ち、探偵の真似を始める物語です。
その後真知子の通う学校で次々と不審な死が起こり、素人探偵真知子が奔走していく様子が描かれています。
登場人物はそれ程多くないですし、物語としてもとても読み易いので中学生の自分には合っていたのでしょう。
当時は真知子のような高校生活を夢見ていたような気がしますが、まぁ実際にはあり得ないですよね。
推理小説とは言うものの、最後にちょっとしたどんでん返しがあるだけでトリック等は特段凝ったものはありません。
そのどんでん返しが中学生の自分にはインパクトがあったのかも知れませんが、これも大人が未知の状態で読んだらどう思うのだろう。
恐らくそれ程強いインパクトはないのでは、というのが自分の推測です。
自分は今も昔も本作の「物語」や「登場人物」に魅力を感じています。
実際今回も推理小説としての面白さは物足りなさを感じつつも、物語としては面白かったです。
そういう意味では、本作はライトノベルに近いかも知れません。
『三姉妹探偵団』シリーズはもう少し推理小説としての体系に重きを置いている感じがしますので、そちらとは似て非なる感じがします。
結局、やっぱり大人が読むには物足りなさがあるかも知れません。
自分には思い出深い作品だったので十分楽しめました。
ちなみに書店でなかなか見つからなかったので、結局丸の内の丸善で購入しました。
赤川次郎クラスだと作品が多すぎて欲しい作品にすぐに辿り着くのが難しいですね。
初めて読んだ当時を懐かしみつつ、作品としても個人的には楽しめたので満足です。
やっぱり自分の原点はクリスティと赤川次郎なんだなと再認識しました。
次は「幽霊シリーズ」も読み返したいな。
あとがきでも未読の気になる作品もあったので、またそのうち赤川次郎作品を取り上げることになるかも知れません。
『死者の学園祭』
★★★(★)☆ / (3.5点)