アガサ次郎の推理日記

推理小説好き(初心者)です。主に読んだ本の感想を書き込んでいきます。

『悪魔の報復』 / エラリー・クイーン

 

久々のエラリー・クイーンです。

実は本作を入手したのは今年の初めでした。

電子書籍は無いですし、中古も少し探してみたものの見つからず。

もう今回は手っ取り早くアマゾンで買ってしまえということで751円で購入。

ところが今見てみたら最安値が1,953円!

状態の良い物は3万円超えとは・・・。

良い時に買えたのかな~。

ちなみに届いた本は結構年季の入った本でした。

 

今年の初めに買ったものの、その後目移りしたり、あとは再販されないってことはそんなに評価が高くない本なのかな~なんてつまらないことを考えたり。

でもここらで読んでおかねば!ということでこのタイミングに。

こういう積み本がまだある・・・。

 

さて本作の感想です。

先にも述べたつまらない~という憶測は、序盤過ぎには吹き飛んでいました。

つまらなかったのは導入部分だけです。

そこを過ぎたら全然面白いじゃん!ってどんどん読む進めました。

いや、これ再販した方が良いよ!

後続作品の『ハートの4』とかは電子書籍でも読めますし、『靴に棲む老婆』ですとかは昨年?新装版が出たりしているのに、何故本作だけ・・・。

勿体ない。

 

ただ事件自体は面白味が無いかも知れません。

本格推理小説として読むとイマイチになってしまうと言われれば、それはちょっと納得してしまうかも。

これは個人的に思ったことですが、本作の描き方はクリスティに似てるところがあるかも。

だからなのか、直感で「こいつ犯人じゃね?」と思った人物がやっぱり犯人でした。

どういうことかっていうのを書いてしまうとネタバレに繋がりそうなんですが・・・。

つまりトリックやアリバイが分からなくても犯人が推測できるような構成になっていると言いますか。

これ以上は上手く書けません!

 

推理面で言うと本作は途中までが殆どアリバイの話になっていますが、最後の最後にエラリーがふとしたことをきっかけに今度はトリックの話にガラッと変わります。

ただ自分は種明かしされるまでエラリーが何を言っているのか全く分かりませんでした。

というか、これ読んだだけで想像するの難しいと思うのは自分だけでしょうか。

 

謎解き要素も面白いんですけど、やっぱり自分は物語としての緩急に惹きつけられたのかなと思います。

登場人物は好きになれませんでしたが、でもまぁここまで色々と身勝手に行動してくれると物語が弾みますね!

しかも隠し事だらけ(読者は分かってる)だから、それもまた面白い!

このパターンは他の作者・他の作品でもありますけど、本作はキャラが上手く動いている印象です。

それともう一つ。

本作でエラリーはハリウッドに脚本家として仕事をしに来ている訳ですが、父親のリチャードの威光が届かない場所で現地の警察とやり合う事になってしまいます。

エラリーはそれを機に一度舞台から退場してしまうのですが、中盤過ぎ頃に再登場しちょっと変わった形で捜査?調査?取材?・・・に携わることになります。

その仕事を報酬無しで請け負う時にその理由の一つとして

「なぜならばここの殺人課のイカサマ幹部に仕返しをしてやりたいからだ!」

と述べています。

この探偵役として警察側を実力でどう逆転していくのかという所が非常の面白かった!

上記の台詞も個人的には大好きです(笑)

そして勿論それを見事に成し遂げてみせます。

ちなみに本作ではエラリーは偽名で活動することになります。

その名も「ヒラリー・キング」。

エラリーが「ヒラリー」でクイーンが「キング」・・・もっと他にあったでしょう。

ある個所では「ミスター・ヒラリー・エラリー・キング・クイーン」という名称が使われています。

 

そういえば読了後も分からない点が2つあります。

1つは本書のタイトルが何故「悪魔の報復(THE DEVIL TO PAY)」だったのかということ。

もう1つはエラリーが序盤の競売に参加して落札していたのは何故。

自分が何かきちんと理解出来ていない気がします。

 

という訳で普通に、いや普通以上に面白かったし楽しめました!

次作の『ハートの4』も読むつもりです。

それは電子書籍で(文庫は中古で1万5千円くらいする)。

本作が再販したら、その際には再読したいですね~!

 

 

『悪魔の報復』

★★★★☆  /  (4点)

 

 

 

※この年季具合は嫌いじゃないです。

 

※当時の貨幣価値と違うかもだけど、こんな安いの。