本作は「東西ミステリーベスト100」やその他オールタイムベスト等にも名を連ねている作品でしたので、ずっと興味はありました。
そんな折、本作が復刊することが分かり、これは読むしかないということで早速購入しました。
他の出版社からも近々復刊する予定の作品があるらしく、既に狙っているものもあります。
そういうのが自分の読書のきっかけになれば楽しいですね。
ということで本作はまさにそんな流れで読むことにした一冊。
ページ数は全350ページと丁度良い量で、内容も特に苦労することなく読めました。
本作に似ている作品がクリスティやクイーンのとある作品にあるということですが、自分はクリスティの方は読んでますがクイーンの方はまだ未読です。
なのでクリスティの方にしか類似性を判断出来ませんが、確かに「そりゃ引き合いに出されるよね」という感じで、確かに一部似ていました。
とは言っても物語の構成は全く異なりますし、クリスティの方は巧みな物語の運び方が面白かったのに対し、本作は飽くまでも本格推理小説として取り組んだかなという印象です。
クリスティの作品の仕掛けとちょっと性質が異なる様な気もします。
解説等によれば作者はエラリー・クイーンに心酔していたようですが、その影響は本作の中でも見て取れるかと思います。
さて、本作は一見すると不幸な偶発的事故あるいは自殺に見せかけられた手口によって亡くなった人物たちが、実は「HOG」と名乗るシリアルキラーによる連続殺人の犯行であり、一体ホッグとは誰なのか?被害者たちの共通点はあるのか?という事を探っていくミステリーとなっています。
レビュー等でもミッシング・リンクが・・・というような感想を多く見ましたが、自分はミッシング・リンクを探すという楽しみ方はしませんでした。
飽くまでもこれは自分の直感だったんですが、その楽しみ方は無意味のように思えましたので・・・。
なので自分は本作を読んでいて主に想像を働かせていたのは「犯人は一体誰か?」「ホッグの意味とは?」、主にこの二つのことでした。
前者に関しては全く分かりませんでした。
次々に色々な人物を犯人に当てはめて考えてみるのですが、どれもしっくりこない感じでした。
というかこの作品の結末は「犯人は一体誰か?」ということを考えてしまった時点で、ある意味負けたような気がします。
そんなことを考える以前に本作に隠された「ある事実」を見抜けなければ、本当の意味で犯人を特定したということにはならないからです。
とは言え、犯人を当てるだけならヒントは実は沢山転がっていました。
それすら自分は気づけませんでしたが・・・。
一方後者の「ホッグの意味とは?」。
これに関しては最後の最後で明かされることになりますが、「なるほど!」というような見事な着地でした。
これが明かされる一行は絶対忘れないことでしょう。
物語に関しては特に面白味があったとか新鮮味があったということはなく、登場人物たちも好きでも嫌いでもありませんでした。
かと言って別に読むのに苦労した訳でもなく、物語も変に冗長になることも無かったので良かったかと思います。
とにかく、このタイミングで古典的名作と位置付けられる作品が読めたのが良かった。
ここのところ結構おざなりにしていたので。
それとも古典的名作というには若すぎるかな。
いずれにせよ作品としてもそれなりに楽しめましたので、満足です。
今後も復刊等は狙っていきたいと思います。
『ホッグ連続殺人』
★★★☆☆ / (3点)