読了してから一か月以上経過してしまいましたので、もう「読んだという記録」を残すためだけの記事になってしまいそうです。
なのでいつも薄っぺらい感想も、今回は輪をかけて薄っぺらいものになると思いますがご容赦ください。
さて、まずはこちらを・・・。
wakuwaku-mystery.hatenablog.com
自分が2023年中に読んだ作品の中で断トツで一番面白かったのが『クリスマス・プレゼント』でした。
この作品を読んだのは一年程前になりますが、その時から<リンカーン・ライム シリーズ>は読まなくてはと思っていました。
ちなみに『クリスマス・プレゼント』にもリンカーン・ライム達が登場する話が1話だけ挿入されています。
さて、『ボーン・コレクター』です。
99年に映画化もされている本作ですが、自分は作品名は知っていたものの作品自体は観た事がありません。
いずれ観たい気はするのですが、映画の評判はどうなのか気になるところです。
ということで中身は全く知らない状態でしたが、『クリスマス・プレゼント』でライム達の様子を読んでいたため、ライムとアメリアの邂逅は結構驚きでした。
こういう感じで、しかもこういう関係だったんですね。
「思考機械」の異名を持つドゥーゼン教授と被るところもあるリンカーン・ライムですが、ライムも負けず劣らずの「思考機械」ぶりを発揮します。
事件自体が「ライムのために起きた事件」と言っても過言ではないほどの、犯人vs安楽椅子探偵という図式で、「これライムじゃなきゃ気づかないで終わってるだろ・・・」と思うことの連続です。
ライムは首、頭部、左手の薬指以外は動かせない身体なので、現場百篇で培ったライムのノウハウを実際に演じるのがアメリアになります。
が、最初の現場がいきなりハードさで、アメリアは拒絶反応を見せます。
自分は『クリスマス・プレゼント』を先に読んでいたので勝手に思い込んでいましたが、正義感だけではどうにもならないことが当然立ちはだかる訳ですね。
この場面はライムの言い分も分かるし、アメリアの気持ちも分かるしで、でも読者としてはライム寄りの気持ちで読んでいました。
結局最初の現場はライムの言う通りに現場検証を行うアメリアですが・・・。
『ボーン・コレクター』自体は科学・化学・物理学・生物学等、とにかく理系の知識と少しの文系の知識がふんだんに盛り込まれた作品で、自分みたいな理系の知識が乏しい人間にはさっぱり分からないことばかりです。
なんですが、そういった細かい理屈で成り立った事件の上に、しっかりと人間ドラマが乗っかってくるのが面白いところです。
理屈では説明しきれない人間同士のぶつかり合いが物語を最後まで盛り立てている気がします。
それは犯人の不気味さも含めてです。
警察という組織ならではの人間ドラマも描かれています。
上巻で一旦区切ろうと思ったら、上巻がメチャクチャ良い所で終わるので間髪入れず下巻に入ってしまいました。
<生と死><正義と悪><動と静>
こういった対比の中で行ったり来たりで揺らいでいる状態を上手に描いた作品だったな、という印象です。
そして、答えが出きらないというところに本作のリアリティを感じました。
これは次作以降も期待して読みたくなります。
色んな意味で面白い作品でした。
★★★★☆ / (4点)