『ローマ帽子の謎』に続いて国内シリーズの2作目です。
読了後に色々とレビューを読んでみたんですが、全体的に評価がもう一つな感じでした。
でも、自分は『ローマ帽子の謎』よりも面白かったですし、比較しなくても十分面白かったと思っています。
何が好きかと言えば、エラリー・クイーンらしいロジカルな解決です。
奇抜なトリックが用いられている訳ではないので、細かく論理的に考えていけば真実に辿り着けるようになっています。
自分なんかは論理的な思考を働かせていなかったので、解決編では驚きっぱなしでした。
「言われてみれば!」とか「確かにそうだ!」とか心の中で叫びながら読んでいました。
このロジカルな解決は本当にお見事でした。
これがパズラーとして有名なエラリー・クイーンのやり口か!と納得出来ました。
お話としても自分は普通に楽しめました。
登場人物は一見すると多いように見えますが、整理がしにくい程ではありません。
それも読みやすさに繋がっていると思います。
ただ、気にならない点がない訳ではありません。
自分の中では謎が1つ残ったままです。
自分がきちんと理解していない、もしくは読み飛ばした可能性もありますが、調べてみても解答が出てきませんでした。
これについてはネタバレになってしまうので、追記に書きたいと思います。
さて、そういった気になる点を除いたとしても、パズルミステリーとしての楽しさは十分味わえました。
個人的には非常に満足しています。
次も楽しみです。
★★★★☆ / (4点)
ここからはネタバレしていきます。
ご注意下さい。
解答が分からないというのは、死体に巻かれていたマリオンのスカーフのことです。
口紅が塗りかけだったことは説明されてましたが(この理由についても自分はあまり納得出来ていませんが)、スカーフのことは全く説明されていなかったと思います。
しかし、エラリーは説明出来るとも言っています。
スカーフの事を除いても、マリオンに関する説明は色々と不親切な気がします。
頑なに黙秘する理由など、推測は出来ても答えは分かりません。
もっとも、自分は全てのことに説明をつけて欲しいとは思いません。
ある程度推測や推理出来る余白を残しておくことは、推理小説に限らずに許容範囲の楽しみかただと思います。
勿論、解答は気にはなりますが。
そうそう、犯人がクルーサーだとすると、タクシーの運転手の証言は偽りだったんでしょうか。
自分はそうだと思っています。
そして、結局バーニスが何処で殺されたのかは不明のままですが、そちらを隠すためのカモフラージュでもあったのかなと。
あと、犯行の際にアパートと売場を行ったり来たりしてるようですけど、それって結構バレないものなのかね、というのは少し思ってしまいました。
以上、気になる点でした。
これらがあっても、面白さが損なわれることはなかったですけどね。