江戸川乱歩の作品の中でも最高傑作の声が上がっていたので、いつかは読みたかった一冊です。
江戸川乱歩の中でもここまでの長編を読むのは恐らく初めてだったと思いますが、確かに面白かったです。
前半と後半で大分イメージが異なってくるんですが、どちらも江戸川乱歩らしさはしっかりと世界観に表れていて、特に後半の方はある意味ホラーです。
元々猟奇的な作風ではありますし、これよりもゾクゾクする話はあると思いますが、物語の面白さとホラー感が見事に融合しているのが本作だと思います。
前半は恋愛小説とも読める部分もあり、それが一段落すると急に推理小説らしくなってきます。
探偵役の深山木が密室トリックの謎に挑みます。
ところが冒頭ですぐに書かれているのでここにもネタバレで書いてしまいますが、この探偵役の深山木が殺されます。
探偵役があっさり退場という展開に驚きました。
探偵役は別の人物に引き継がれ、第一の事件・第二の事件の謎を追うことになります。
ここから一気にホラー感が増します。
そこまでグロテスクな内容ではありませんので、そこはご安心を。
最後はホラーというよりも冒険譚とでも言った方が良いかも知れません。
なんというか・・・奇妙で猟奇的な内容なだけに中身を説明するのが難しいのですが、言えることは最後の2行が印象的な締め方でした。
是非ここまで読んでほしい。
恋愛小説であり、推理小説であり、ホラーであり、冒険譚でもある。
その全てが江戸川乱歩の世界観で見事なバランスで描いてある、とても面白い作品でした。
★★★★★ / (5点)