昨年読んだ「傑作集1」は古典と侮るなかれといった具合に見事に「やられた」1冊でしたので、やはりこのシリーズは読破すべきと意気込んで臨んだ2作目です。
面白かったですけど、1作目の方が自分的には断然好きでした。
今作には自分でも知っているクロフツやチェスタトン、ルブラン等の有名推理小説家の作品も収録されております。
その中でも自分はブラウン神父の作品に関しては本作で初めて読むことが出来ました。
ただし、本作の中で比較してしまうと自分好みの作品ではなかったです。
本作に収録されている作品で印象に残っているものといえば、やはりまず最初に収録されている「放心家組合」です。
「奇妙な味」と云われる名作短編群があるということを知りました。
「放心家組合」だけを読んで「奇妙な味」の何たるかが分かった気がする、というのは知ったかぶりが過ぎるとは思うのですが、何となく掴めた気がしています。
こういう結末の作品は確かに今まで読んだことがなく、まさに奇妙な着地だったので印象に残っています。
あとがきによれば夏目漱石の『吾輩は猫である』でも「放心家組合」の引用がなされているとか。
続いて収録されている「奇妙な足跡」は、展開は読めてしまいましたが読み易くて面白かったです。
それと、個人的に懐かしさを感じたルブランのアルセーヌ・ルパンです。
ルパンが登場する作品では中学生の時に読んだ「ルパン対ホームズ」だけしかないのですが、ワクワクしたのはよく覚えています。
それ以来のルパン物でしたが、やっぱり面白かった。
これは他のも読んでみたくなりますね。
ルパン、リュパン・・・表記に悩みますが、何となく本家の方はリュパン表記の方がしっくり来ますかね。
更に続いて収録されている「オスカー・ブロズキー事件」が自分は一番印象に残っています。
本作に収録されている作品の中では最も長く、所謂「古畑任三郎方式」を取っている作品です。
これだけの理詰めで追い詰めていくというのはホームズでもなかなか見ないような推理展開で、犯人が可哀想になってくるくらいでした。
最初に邂逅した瞬間に敗北を悟っていたような気もしますけどね。
結末だけがもう一捻り欲しかった。
その他好きな作品で言えば「ブルックベンド荘の悲劇」と「急行列車の謎」です。
前者はオーソドックスな推理小説という印象を自分は持ったんですが、だからこそ面白かった。
こういうタイプの犯罪者は追い詰め方が肝になってくると思いますが、この結末はなかなか・・・。
それと後者の方は、正直肝心のトリックは読んでもあまり頭にハッキリとは浮かべられませんでした。
ただ作り出された状況はとても面白いもので、あらゆる可能性が排除されてそれでも真相に辿り着かないという過程はなかなか楽しかったです。
でも結局読んでも何となくでしか理解出来ませんでしたけど。
クロフツは『樽』しか読んでないですし、それだけで良いやとか思ってましたけど他の作品も読んでみたくなりました。
ということで本作も悪くは全然なかったんですが、個人的には傑作集1が好き過ぎました。
でも、やっぱり2も読んだ意義はあったと強く感じています。
次は『世界推理短編傑作集3』ですね。
これも江戸川乱歩編ということで楽しみです。
★★★☆☆ / (3点)
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