古典ミステリーの名作で、短編と言えば必ず名前を見るといって良いほどの作品で以前から興味はありました。
オールタイムベストにもよく名を連ねている作品ですし、いずれは読まなければいけないとずっと思っていた作品です。
思えば当ブログの最初の記事である有栖川有栖の『月光ゲーム』の本編最初のページにもこの作品の名前が出てきていました。
期待するだけの条件は整っていたので、楽しみにしていました。
が、正直言って全くの期待ハズレでした。
正直面白くなさ過ぎて、気が向いた時にちょっとずつちょっとずつ読み進めて、結局読み終わるまでに1ヶ月以上かかってしまいました。
飽くまでも自分はそう思ったことを綴るだけですので、当たり前ですけど感想には個人差があると思います。
事実、本作のレビューを色々覗きましたが「やっぱり名作だ!」という感想を述べる人も居れば、自分と同じような感想を持っている人も多くいました。
その辺はあしからず・・・。
まず自分にとって何が一番合わなかったと言えば、登場人物が全く好きになれませんでした。
語り手の検事、探偵役のニッキー、その他登場するやたらと自信に満ちた人たち。
どれも好きじゃありませんでした。
それに輪をかけて自分には話が面白いと思えなかったのもあります。
表題作は、
「9マイルは遠すぎる。…雨が降っていたらなおさらだ。」
という何気ない会話の端から事件の解決まで至る、というのは面白い思考だとは思うんですが、ちょっと飛躍した推論では?と思わずにいられない部分もあったり。
安楽椅子探偵らしく状況を聞いて事件の推論を立てるわけですが、解決と断定するまでの根拠が弱いのが気になってしまいます。
まぁ結局その推論は全て正しかった、ということにはなる訳ですが、結論ありきで書かれたような根拠の弱さが自分はどうしても引っかかってしまいます。
安楽椅子探偵ってそういうものでしょ、と言われればそれまでなのかも知れません。
ただ、自分は8編の中で「おしゃべり湯沸かし」と「時計を二つ持つ男」は面白いかなと思っています。
やっぱり全体的に評価出来ないというのが自分の中での感想です。
こういう推理法、あるいは安楽椅子探偵としてのモチーフを作ったという点では評価されるべき作品なのかも知れませんが・・・。
こればかりは個人的に合わない本だったんだろうと思うしかありません。
とにかく謎解きにケチをつける、というよりキャラが好きでは無さ過ぎました。
正直読み終わった後の印象も弱すぎて、この後内容を絶対忘れていく気がします。
ただ古典ミステリーと代表作を読んだ、というその事実だけの為に読破した。
そういっても過言ではない、とにかく自分には合わない1冊でした。
『九マイルは遠すぎる』
★☆☆☆☆ / (1点)