前作『17の鍵』に続くトム・バビロンシリーズの2作目です。
今のところ翻訳されてるのはここまでみたいですが、シリーズとしては4作目まであるみたいですね。
個人的には前作より本作の方が面白かったです。
なかなか厚い本でしたが、割とすぐに読めてしまいました。
シリーズ物として、ちゃんと前作を読んでいないと話が繋がらないと思います。
前作を読んでいると「ああ、こう繋がるのね」という面白さがあります。
事件はベルリン国際映画祭で突如映し出されたスナッフビデオから物語は幕が開けます。
しかし、その後本当に色々な事が起きまくるので、そういえばそんな事もあったなぁという感覚です。
地道に事件の解決へ向かう、というよりも次々に展開が広がっていくので飽きることはありませんでした。
その代わり、物語の流れを見失い易い気もします。
今回はトムよりもジータの方に物語の重きが置かれていますが、やっぱりジータは好きになれません。
ジータの物語だけど、ジータが活躍する場面は無いに等しく、自分のことは置いておいて正論をかましてくる、役に立たないけど首は突っ込んでくる等の行動が目立ち、嫌な奴な印象です。
でもよくよく考えてみるとトムの活躍する場面もあんまり無いんですよね。
中盤くらいで終盤の展開の予想もついてしまいましたが、飽きはしませんでしたね。
でも犯人側の主張がこれっぽっちも納得出来るものでもなく、それは前作と同じですね。
この辺は次作にも持ち越される部分もありそうです。
あとはレビューでご都合主義過ぎでは?というのもありましたが、そこまででも無いと自分は感じました。
だけど全くそれが無い訳ではなく、特に終盤のトムとジータがピンチになってしまった場面では「何で殺さなかったんだろう?」という疑問に辻褄があう答えはありませんでした。
あの場面はジータの役立たず振りも相まって、もう少し上手く展開して欲しかったかも。
全体的には結構面白かったです。
起承転結の「転」が起きまくるので、本当に飽きませんでした。
次作に繋がる伏線も用意されていて、次も気になりますね。
いつ出るのか分かりませんが・・・。
最後に余談なんですけど、この前書店でクリスティの『白昼の悪魔』の新訳版が出ていて「いいね!」と思って買おうと思ったんですけど、文庫版なのに定価が1,800円(税別)でビックリしました。
最初は見間違えたのかと思いました。
そんなに厚い本でもなく、文庫なのにこんな値段なの。
確かに内容的には払う価値はあるのかも知れないけど、これなら旧訳版で良いやってなりますよね。
これって単純に物価高の影響なんでしょうか。
今後の生活にも影響するレベルの事なので、原因が知りたいですね。