職場の人に借りたシリーズです。
広義な意味では推理小説ということになるのでしょうか。
最後にどんでん返しが起こります。
以前これまた職場の人に借りて読んだ『チェインギャングは忘れない』も似たような展開になりましたが、あちらほどのハラハラ・ドキドキはありません。
それでも普通に面白かったです。
物語としては、やりたいことも特に無く就活に挫折しそうな大学生が正体不明のピエロと出会い、兜市という街が直面している幾つかの問題を解決していく話となっています。
ピエロと大学生以外にも兜市の市長と秘書、看護師等々が登場し、終盤には政治絡みの話にも差し掛かります。
この正体不明のピエロの行動力が凄まじく、この無気力大学生でなくとも惹かれてしまうと思います。
基本的には大学生と市長の秘書の視点から物語は進んでいき、最後に全てが繋がる流れとなっています。
なので、一見関係なさそうな話題が実は重要だったりして、最後まで楽しめました。
この本のどんでん返しの正体は何かと問われれば、それはズバリ、ピエロの正体です。
先にも述べた通りピエロについては正体不明となっていますが、最後にピエロの正体が判明します。
その瞬間に、読者の創造した想像の世界は形を変えます。
本作の持ち主に「最後にどんでん返しが起こるから」と事前に言われていたにも関わらず、見事に想像の上を行かれました。
ズルいと言えばズルいのかも知れませんが、自分は心地よい騙され方だったので満足しています。
とある殺人事件の犯人も最後に明かされますが、正直そんな推理よりもピエロの正体のが気になってしまいますし、殺人事件の犯人は意外性はあるものの納得しにくいと個人的には感じました。
また、兜市の抱える最大の問題も最後に見事解決となりますが、「そんな好条件は現実的ではない」とひねくれた自分は素直に爽快感を味わえませんでした。
と、ケチの付け所も無いわけではないのですが、全体的には読みやすく、飽きずに最後まで楽しめたので好きな一冊ではあります。
子供でも全然楽しめると思います。
余談ですが、作中にウイニングイレブンというサッカーゲームの話が出てきますが、それが懐かしかったです。
ブラジル代表といえば自分はロナウジーニョよりもロナウドの方が凄さを感じていました。
その他にもカフー等の懐かしいレジェンドの名前が出てきて、久々に昔のウイイレをやりたくなりました。
最近のウイイレは全く分かりませんし、実際のサッカーも自分は全く分かりません。
ちなみにこの当時のウイイレで自分が好きだったナショナルチームはチェコ代表でした。
なんだか忘れた頃にふとまた読みたくなりそうな気がする。
そんな印象のある好みの一冊でした。
『ピエロがいる街』
★★★(★)☆ / 3.5点
wakuwaku-mystery.hatenablog.com